こんにちは、税理士の小野尾です。
今回は【松下幸之助に学ぶ経営哲学】の第15回目です。
私はドラッガーからではなく、日本人である松下幸之助から経営哲学を学んでいます。その想いはこちら↓に綴っています。
ピーター・ドラッガーより松下幸之助【松下幸之助に学ぶ経営哲学】
今回は「会社経営における人づくりのポイント」をご紹介します。
会社経営においては、何よりも人を求め、人を育てていくことが大切です。
そのためには、まずは、しっかりとした経営理念を持ち、そして、繰り返し伝え、経営者自らが行動で示すことで、従業員に浸透させることが必要です。
ということを前回のコラムでお伝えしました。
今回はその続きです。
結論からお伝えしますが、会社経営における人作りのポイントは、仕事を任せることです。
松下幸之助はこう表現しています。
「思い切って仕事を任せ、自分の責任と権限において自主性をもった仕事ができるようにしていくことである」
会社経営において人を育てるとは、経営の分かる人、経営的な感覚を持って、どんな仕事でもできる人を育てることです。
そのためには、一から十まで指示や命令をしていたのではいけません。それでは言われたことしかできない人になってしまいます。
ですから、仕事は思い切って任せることです。そうすれば、自分でいろいろ考えるようになるので、その人は成長していきます。
しかし、仕事を任せたとしても、基本的な考え方や方針はしっかりと押さえておくことが必要です。すべての判断を個人個人に任せてしまっては会社という組織のまとまりを欠いてしまいます。
仕事を任せる時にしっかりと押さえておくべき基本的な考え方や方針というのが、経営理念です。
経営理念という会社の基本的な考え方をベースにして、各人に仕事を任せていけば、会社としてまとまりつつも、各人の成長につながっていきます。
経営理念は事業展開を行っていくときにだけ必要になるのではなく、人を育てるときにも必要になってくるのですね。
人を育てることに関して、最後にお伝えしたいことがあります。人を育てる上で気を付けなければならない点があるのです。
仕事をこなせるようになったり、技術を身に付けることができたりしたら、人が育ったようにも思えます。
でも、それだけでは足りないのです。確かに、仕事ができるようになることや技術を身に付けることは、もちろん要なことです。
しかし、会社経営において人を育てるというのは、それだけではないのです。
会社経営において人を育てることについて、松下幸之助はこう言っています。
「人を育てる場合には、職業人としても社会人としても立派な人間を育てることを強く心しなくてはならないと思うのである」
「社会人として立派な人間を育てる」という発想はさすが松下幸之助ですね。
会社経営においては多くの人とかかわります。
社会人として問題があると、その人個人だけではなく会社の信用にも関わってきます。ひいては、国際取引が活発な今日においては、日本という国の信用にもかかわってきます。
ですから、会社経営において人を育てる場合には、単に職業人として立派な人間ではなく、社会人として立派な人間に育てるということも忘れてはいけないのです。
社会人として立派な人間を育てるためには、まずは自分自身が立派な人間でなくてはいけませんよね。
そうなると、やはり『論語』などから人間学をしっかり学ぶ必要があります。経営者は気が抜けませんね。
最後に私が教科書にしている本をご紹介します。
実践経営哲学 (PHP文庫)