こんにちは、税理士の小野尾です。
今回は【松下幸之助に学ぶ経営哲学】の第6回目です。
私はドラッガーからではなく、日本人である松下幸之助から経営哲学を学んでいます。その想いはこちらに綴っています。
ピーター・ドラッガーより松下幸之助【松下幸之助に学ぶ経営哲学】
今回は「利益」に関してです。
「利益」というと、何かいやらしいものだと考える考え方がある一方で、利益を上げることが会社の究極的な目標だと考える考え方もあるようです。
両極端なこの二つの考え方ですが、松下幸之助はいずれも正しくないと考えています。
松下幸之助が利益についてどういっているのかというと、「利益というものは企業の使命達成に対する報酬」だとといっています。
そもそも会社経営は「社会に必要なものを提供すること」です。それが会社の使命であり、それによって会社は社会に貢献するのです。
そして、会社は社会に貢献することによって、その報酬として利益を得ることができるのです。
例えば、買う人にとって百円の価値があるものを、それより安く、八十円や九十円で仕入れたり、作ったりすれば、その差額を利益として得ることができます。
買う人がその人の努力では手に入れられないものを、会社が変わって手に入れたり、作ったりすることにその会社の価値があります。買う人はその価値に対して利益を支払います。
買う人に代わって努力したり、買う人に奉仕したりすることが、その会社の価値になります。そこがまさに会社の使命ということになります。
ですから、会社が提供するものやサービスに含まれている、努力や奉仕が多ければ多いほど、買う人や社会に対する貢献度も高くなります。
したがって、その報酬としての利益も多くなるのが原則です。
ということは、利益が出ない経営というのは、社会に対する貢献が少なくて、会社としての使命を果たせていないと考えることができます。
利益が出ないというのは、社会が必要としてないものを提供しようとしているのか、社会が必要とする価値よりも高い金額で仕入れたり、作ったりしているということですね。
誰でも手に入れられるものを十円で買って百円で売ったのでは、おそらく誰も買わないでしょう。十円で誰でも買えるのだったら、それに九十円の価値を乗せて百円で買うようなことは誰もしません。
その会社の努力や奉仕が少ないからです。
逆に十円で買ってきたものに対して、形を変えたり、何かを組み合わせたりして、九十円分の価値を上乗せできれば、百円で買う人も出てくるでしょう。
その会社の努力や奉仕が多くなるからです。
会社の努力や奉仕が少なければ利益は少なくなり、会社の努力や奉仕が多ければ利益は多くなります。それだけ「付加価値」が高くなったということです。
当たり前といえば当たり前ですね。
当たり前のことが当たり前にできないから難しかったりする訳ですが、改めて、当たり前のことを当たり前にやることの大切さを再認識できると思います。
当たり前が当たり前にできるよう、頑張りましょう。
最後に私が教科書にしている本をご紹介します。
実践経営哲学 (PHP文庫)