こんにちは、税理士の小野尾です。
今回は【松下幸之助に学ぶ経営哲学】の第4回目です。
私はドラッガーからではなく、日本人である松下幸之助から経営哲学を学んでいます。その想いはこちらに綴っています。
【松下幸之助に学ぶ経営哲学】 ピーター・ドラッガーより松下幸之助
松下幸之助は会社経営をしていくには人間についての考え方である人間観が必要だといっています。人間観とは、人間がどんなものか、どんな特質を持っているかということについての考え方のことです。
人間がどんなものか、どんな特質をもっているか、実は私も考えたことがありません。皆さんも同じではないでしょうか?
ここではまず人間観を説明する前に、なぜ会社経営に人間観が必要なのか、ということをみていきます。
会社を経営していくと、経営者を始めとして、従業員や顧客などの多くの人がかかわっています。コンピューターや通信技術が発達したから、人手を煩わすことなく経営ができている、という方もいらっしゃるかも知れません。
でも、最終的に買ってくれるのは人です。人の手を借りずに経営ができていたとしても、結果的には人がかかわってきます。ですから、人とのかかわりなしで会社を経営していくことはできないといえます。
この点を踏まえて松下先生は、会社経営は人間が集まって、お互いに関わり合いながらお互いの幸せのために行う活動であるといっています。
お互いの幸せを考えるのであれば、そもそも、人間がどんなものか、どんな特質をもっているかという人間観を持っている必要があります。
間違った人間観を持っていたら、会社経営をどんなに頑張ったとしても、お互いの幸せにつながらなくなります。ですから、会社経営には人間観が必要だということになります。
次いで、人間観についてみていきます。
松下幸之助は、人間は万物の王者という人間観をもっています。
王者という言葉を用いていますが、王者だからといって、欲望や感情の赴くままに全てのものを支配するという意味ではありません。
松下幸之助のいう王者には、「全てのものを活用する権限を有している」という意味と、それと同時に「いっさいを活かしていく責務を有している」という意味があります。
権限を持っているだけではなく責務(義務)も負っているということですね。
これを会社経営に置き換えれば、まず、経営者は、経営資源である人、もの、カネに関して、それをコントロールする権限を持っているということがいえます。
さらに、会社がもっている経営資源には限りがありますから、それを有効活用していく、つまり活かしていく必要があります。
つまり、経営資源に関して、活用する権限と活かす責務があるのが経営者だということになります。ですから、経営者はまさに会社の王者となります。
経営者は、経営資源はすべて自分のものだからといって、欲望や感情の赴くままに操るのではなく、すべてに対して、それぞれが活かされるような十分な配慮をもって会社経営を行っていく必要があるということです。
経営者は経営資源をコントロールする権限を持っているので、権限だけに目が向きがちです。そうではなく、十分な配慮にも目を向ける必要があるということですね。
最後に私が教科書にしている本をご紹介します。
実践経営哲学 (PHP文庫)