利益を出すことは社会的責任である 【松下幸之助に学ぶ経営哲学7】

こんにちは、税理士の小野尾です。

今回は【松下幸之助に学ぶ経営哲学】の第7回目です。

私はドラッガーからではなく、日本人である松下幸之助から経営哲学を学んでいます。その想いはこちらに綴っています。

ピーター・ドラッガーより松下幸之助【松下幸之助に学ぶ経営哲学】

 

今回も「利益」に関してです。

前回は、利益は会社にとっては報酬であるということをお伝えしました。その会社の使命を果たすことで利益という報酬を得ることができるということでした。

今回は同じ利益でもそれを「社会」という視点から見た場合の考え方をお伝えします。

利益というものを、会社という立場から見れば報酬であるけれど、社会という違った立場から見ればどういう役割があるのか、ということを整理していきます。

利益の社会的役割は、会社の利益がどのように使われているかということを考えてみればわかってきます。

会社が利益を出すとどうなるかというと、いわずもがな、税金を納めることになります。法人税や地方税という形で国や地方自治体に納めます。

国や地方自治体は税収によって、教育や福祉、道路や下水道などの社会基盤の整備などが可能になってきます。

これによって私たちの生活環境が改善・維持されるので、税収があることによって私たち一人一人の生活環境がよくなるといえます。

つまり、会社が利益を出して納税することによって、最終的には私たち一人一人が恩恵を受けることができる訳ですね。

ちなみに、税収は平成24年度予算で国と地方の税収の約20%に達するそうです。税収の20%を会社が負担しているということです。

でも、会社は法人税や地方税だけではありません。会社で働く人は給与を受け取って、そこから所得税を払います。この所得税ももとはといえば会社から払われるものです。

さらに会社は昨今話題となっている消費税も払うことになります。

となると、国と地方の税収は20%を優に越えます。税収は会社の事業活動によって生じる税金に大きく依存し、ひいては私たち一人一人の生活も会社の事業活動に依存していることになります。

こう考えると、会社の存在意義って大きいですね。
「それはわかっているが、そもそも税金が高過ぎるから払いたくない。」
「税金の使われ方が納得できないから税金を払いたくない。」

という思っている方がいるもの承知しています。
それはそれで、一つの考え方としてはいいと思います。

税金を払わないように脱税をするのは言語道断ですが、経費を多く使うことで利益を減らして、税金も減らすという節税をするのはありだと思います。

節税によって、その会社で払う税金は減るものの、経費として使えば、それを受け取る人が出てくるので、その人が利益を出せるようになります。その結果、その人に税金が生じることになります。

このように、金額の大小はもちろんありますが、お金を使うことは最終的には税収につながっているのです。

話はそれましたが、前回まででお伝えした通り、会社というのは社会が必要とする製品やサービスを提供する社会的な存在です。

さらに、税金を納めるということで国や地方自治体の財政を支え、引いては私たち一人一人の生活を支えるという意味でも社会的な存在です。

しかも、会社は大規模な取引が可能ですから、個人と比べてより大きな税金を納めることができる存在です。

ですから、利益を出して税金を納めることができることも会社の大切な存在意義、社会的責任であるといえますね。

どうせ払うならイヤイヤ払うのではなく、今回ご紹介した税金の社会的意義を考えて、税金を納めるときは胸を張って納めようではありませんか!

とカッコいいことはいってみたものの、そうはいっても、利益を出さなければ税金は払えません。まずは利益を出せるように会社作りをする必要がありますね。

最後に私が教科書にしている本をご紹介します。
実践経営哲学 (PHP文庫)