専業化して経営を行う 【松下幸之助に学ぶ経営哲学13】

こんにちは、税理士の小野尾です。

今回は【松下幸之助に学ぶ経営哲学】の第13回目です。

私はドラッガーからではなく、日本人である松下幸之助から経営哲学を学んでいます。その想いはこちら↓に綴っています。

ピーター・ドラッガーより松下幸之助【松下幸之助に学ぶ経営哲学】

 

今回は「専業に徹する」という考え方をご紹介します。

会社経営には、事業展開の考え方として、複数の事業を同時に営む「多角化」と一つの事業に特化する「専業化」があります。

創業当初は一つの事業に特化せざるを得ませんが、会社が成長していくにつれ、関連する事業を手掛ける必要性も出てきます。

そうした場合に「多角化」していくのか、あるいは「専業化」を続けるのか、経営者としては悩みどころです。

「多角化」か「専業化」かについて、松下幸之助は「原則として、多角化よりも専業化をはかっていくべき」だと考えています。

だからといって「多角化」が一概に悪い訳ではありません。どちらかというと、専業化していく方がより成果が上がりやすいということです。

経営資源には限りがあります。限られた経営資源を効果的に活かすには、分散させるよりも集中させた方がより大きな成果を生むことができます。

限りある経営資源を一つの事業に集中させることが大きな成果につながるため、「多角化よりも専業化をはかっていくべき」なのです。

確かに、「多角化」することによって、いくつかの事業を行えば、どれかの事業の業績があがらなくても、他の事業でそれをカバーできるため、会社経営は安定するという考え方もあります。

ビジネスポートフォリオという考え方です。

それはそれで大切な考え方です。しかし、それによって「一つの事業がうまくいかなくても他の事業でカバーすればいい」という安易な考え方に陥らないようにしなければなりません。

そんな安易な考え方では、どの事業も成果を出すことが難しくなります。

基本的には、会社が持っている経営資源を一つの事業に集中して、その分野ではどこにも負けないという意気込みで会社経営を行うことが望ましい姿なのです。

ただし、実際の経営においては、社会からの要請や事業展開の必要性から新規事業を手掛けることもあります。また、一つの事業から関連する事業が新しく生み出されることも起こり得ます。

そのような場合には「専業化」にこだわらずに、新しい事業を進めていけばいいのです。

その場合でも、それぞれの事業については、専業でやっているかのように、例えば、別会社にするとか、一つの部門にするとかして、独立した経営体として事業を進めていくべきなのです。

そうすれば「多角化」していても、それぞれの事業が専業化されていて、専業の独立会社の集合体のような実態を持つことができ、それぞれの事業で成果が上がり、全体として大きな成果につながります。

「多角化」してはならないのではなく、「多角化」した場合でも、一つ一つの事業を「専業化」して成果を出すように会社経営を行うことが必要なのです。

最後に私が教科書にしている本をご紹介します。
実践経営哲学 (PHP文庫)