こんにちは、税理士の小野尾です。
今回は【松下幸之助に学ぶ経営哲学】の第16回目です。
私はドラッガーからではなく、日本人である松下幸之助から経営哲学を学んでいます。その想いはこちら↓に綴っています。
ピーター・ドラッガーより松下幸之助【松下幸之助に学ぶ経営哲学】
今回は「衆知を集めた全員経営」という考え方をご紹介します。
松下幸之助が経営者として終始心がけて実行してきたのが、この「衆知を集めた全員経営」です。
その理由について松下はこう言っています。
「全員の知恵が経営の上により多く生かされれば生かされるほど、その会社は発展する」と松下は言っています。
経営者としてどんなにすぐれていたとしても、やはり全知全能という訳にはいきません。一人の知恵には限界があります。
限界がある知恵だけで経営を行っていけば、考えの及ばないことや考えが偏ることも出てきます。それが失敗にもつながります。
そうした失敗を防ぐには、「三人寄れば文殊の知恵」ということわざもあるように、多くの知恵を集める以外に方法はないのです。
でも、だからといって、何か事あるごとに人を集めて会議をしたり、相談するのではありません。そんなのでは、時間と手間ばかりがかかって、現実的ではありません。特に時代の変化の激しい今の時代ではやっていけません。
大切なのは経営者が衆知を集めて経営を行うことの大切さを知って、「衆知を集める」という心がけを持っておくことです。
そして、普段から従業員の話を聞くようにしておき、かつ従業員が話しやすい空気をつくっておくことです。
従業員から経営者へは話しかけづらいものです。普段から話しやすい空気がなければ従業員は話さないでしょう。これでは、衆知は集まりません。
ですから、経営者は衆知を集めるという心掛けを持っておき、雰囲気作りを行っておき、普段から衆知を集めておくのです。
そうすれば、経営者が一人で判断したとしても、普段から衆知を集めているわけですから、結果的には衆知が生かされていることになります。
衆知を集める時に大切になるのが、経営者が自分の主体性とか信念とかはしっかり持っていなければならない、ということです。
こっちの話を聞いて「なるほどな」と思い、あっちの話を聞いて「それはそうだ」と思い、というようなのではダメなのです。
話を聞くたびにぶれるようでは、経営にプラスになるどころか、かえってマイナスになってしまいます。
ですから、自分の考えというのはしっかり持っておいて、その上で他人の言葉に耳を傾ける、という2つの心掛けがあって初めて、衆知が生かされるのです。
一人で考え判断したいのが経営者の性分でしょうが、他人の言葉にも耳を貸せるような器量も持ち合わせなくてはいけないということです。
そのためにも学んでいくことが大切なんです。ともに精進しましょう。
最後に私が教科書にしている本をご紹介します。
実践経営哲学 (PHP文庫)
なお、シリーズでお伝えしてきた「松下幸之助に学ぶ経営哲学」は今回が最終回です。
より詳しく学びたい方は、ご紹介している著書をお読み下さい。私というフィルター無しで松下幸之助の言葉を目にすれば、より深い学びがあると思います。
このシリーズを一から読み直してみても、新しい発見があると思います。
シリーズでお伝えしてきた「松下幸之助に学ぶ経営哲学」、最後までお読み下さり、ありがとうございました。
次回からは、また新しい内容をお伝えしていきます。
引き続きよろしくお願いします。